今日おどろいた事。
「なんの唐突もなく」という日本語表現の存在。
・なんの唐突もなく - Google 検索
こんなめちゃくちゃな誤用がこんなにも広まっているとは知らなかった。
物知らずが、言葉を知らないくせに「なんか難しそうな言葉」を使ってカッコつけようとするから、こんな事になる。こういう人間だよ、おぼえたての「閑話休題」とか「所謂」とか乱用しちゃうの。
呉智英先生の「スベカラク」の話ではないが、自分の身の丈にあった言葉づかいという物があって、物を知らないのであれば背伸びした言葉を使うべきではない、と思う。
よく、二重否定は表現として難しいと言うが、二重否定だけでなく、否定を盛り込んだ表現というのは難しいのではないか。
・吝かではない(やぶさかではない)
・止むを得ない(やむをえない)
なんていうのがその代表格かも知れない。それなりの学歴と知識を持った人が「やむおえない」と書いている例をよく目にする。
冒頭にひいた誤用は恐らく「唐突+なんの前触れもなく→なんの唐突もなく」という変化であろう。言葉を知らないのであれば「いきなり」でよろしい。ヤブサカではなく、ではなくて「進んで行います」で十分である。
「やむおえない」なんて書くくらいなら、「しかたなく」と書いた方がずっとよい。やや稚拙な表現だが好感が持てる。
知ったばかりの言葉をつ使ってカッコつけた文章を書くよりも、もうちょっと地道に、人に伝えるための文章を書いた方が良いんじゃないの?ということです、言いたいのは。
僕も高校生の頃にはずいぶん修辞や難しい言葉に憧れたが、歳を取って、特にブログを書くようになってからは、そういう類の言葉を使わないようになった。僕はいわゆる「美文」を書ける人間ではないし、だいいち、虚勢を張るためにブログを書いているわけではないから。難しい言葉をヘンテコに使って分かりにくい文章を書くよりも、平易な文章で言いたいことが伝わった方が良いし、そっちの方がむしろかっこいい、と思ったから。
いや実際、言葉に限らず「身の丈にあった」という考え方が薄くなっているような気がする。とか書き出すとと爺臭い説教になるのでここらへんで擱筆(笑)させて頂きます。
どうもそんな感じですね。以前はこんな検索結果ではなかったように思うのですが、最近はGoogleの表記揺れ対応が強化されたというのか、かなりヒット件数が変わったような気がします。
以前はよく「的を射た意見:***件 的を得た意見:***件」という、用例の比較にGoogleが使われていましたが、今ではそういう使い方はしにくいのかな、という感じです。
"生死の境をさまよう" の検索結果 約55,900件
ガイアの夜明け見てたら、メタミドホス入りの餃子を食べた人が「生死の境をさまよった」という表現をしたので、違和感を抱いて検索してみたんですが…。
死のほうにさまよって行ったら戻って来れないんじゃないかというツッコミは無粋なんでしょうか。
辞書には「境」の用法しか載ってないようですが。
http://dictionary.goo.ne.jp/search.php?MT=%C0%B8%BB%E0%A4%F2&kind=jn&base=1
×餃子を食べた人が「生死の境をさまよった」という表現をした
○餃子を食べた人が「生死をさまよった」という表現をした
・・・簡単にはできないですねー、フツーは。
モノが自己表現の一種である以上そこに自己満足はどうしても入ってしまうもの。自分で自分の文章に酔ってしまいがちになるのは注意したいところです。
言葉の誤用自体は確かに格好悪いです。ですが、それを指摘されれば、その誤用はその人からは無くなります。誤用を恐れるあまり、指摘を恐れるあまり、指摘されずに残り続ける事の方が誤用が広まると思います。
そして、「身の丈」というのは、ご自身が「そういう類の言葉を使わないようになった」と身の丈が高くなられたように、誤用をする当人達も身の丈を高くしていくはずです。
最近(URLは失念しましたが)ブログ界隈で影響力のあるブロガー達は、お互いに相手の不足しているところを指摘しあい、高めあっているからこそ素晴らしいといった記事がありました。
言葉の問題もこれと同じだろうと、そう考えます。
ところで、背伸びをすることにメリットがあることを知っていますか。
間違いに気づいた人に指摘をして貰えるという点です。
恥なのは、間違って使うことではなく、間違いを指摘されて改めないこと。
「生死をさまよう」は僕も気付かないかも知れません。すこし違和感はありますが。
正しい言葉が使えるか否かっていうのは、そういう細かい違和感を持てるか、そこに気付くかどうかって事なんだろうと思います。
記憶を呼び起こすと、自分で美文だと思って書いた文章というのは、あとで読み返すと非常に恥ずかしかったりしますね。ラブレターもその類かも知れない。
いろいろ思い出すと恥ずかしいことがある物です。