歩くと思考する。
そのためにも歩かなければいけない、人間は。
往路、寒いので身を縮めて歩きながら。
ここ数日、暖かい日が続いたので道ばたの南天など見ながら、
暖かくなると、植物を見るような余裕が出るものなのだな、と思っていた。
寒くなると、肩を丸め、足元を見て歩く。
思考も内向的になる。
気温が肉体に与える影響、そして肉体の状態は精神に影響を与える。
そして脳味噌もまた、肉体の一部である。
復路、ドラえもんのことなど思う。
のび太という人物が、昔からどうも気に入らない。
何故だろうと考えると、やはりその向上心の無さである。
すべてドラえもんに頼る。自分で努力しようと思わない。
こんな男と結婚するしずかという女はバカだという結論に至る。
同僚に「しずかという女はバカだと思う」と伝えた所、彼の答えは、
「あの女は、ドラえもんを利用するためにのび太と結婚したのだ。したたかな女だ」
なるほどそれもまた、穿った見方というモノである。
しかし、結婚した時もドラえもんはまだいたのだったか。
そういえばあの漫画の最終回で、ドラえもんは未来に帰るのではなかったか。
のび太はその後、大変な努力をしたのかも知れぬ。
だとすればその努力は大変な物だったのではなかろうか。
確証も何もなく、憶測と邪推で色々と考える。
このように取り留めもなく思考していることを文字にするのは、気の遠くなる作業である。
彼女がのび太と結婚すると、同性の友人に言ったなら、多分こんな答えが返ってくるような気がする。
「アンタ、まだのび太みたいな男とつき合ってるの?」
返す答えはおそらくこんな感じ。
「だって、のび太さんにはわたしがついていてあげないと」
彼女自身の個性がそこには見い出せない。
だから、共依存傾向のある女性なんじゃないかな〜〜っと。
で、そうやって、自分を無にしてダメな男に付き添い続けてくれる女性ってのをイメージとして美化する男ってのがいるんじゃないかな〜っと。
だからああいう無個性のヒロインってのが存在するんじゃないかな、と思う。
そうなんすかねえ。
しかしそういえば、メジャーどころの漫画で、女のキャラクターをちゃんと描いたものって無いのでは無いかと思う。「女は女」としてしか描かれていないケースが多いのかな。漫画に詳しくないのでなんとも言えませんが。(元漫画研究部員)